Split Image Solver
広角星野写真を分割してプレートソルブし、統合した WCS 座標情報を元画像に適用する PixInsight スクリプトです。PixInsight の ImageSolver では対応できない超広角な星空画像に対応します。
注意: Split ソルブでは画像中心から離れるほど歪みが大きくなるため、周辺部の精度が必要な場合(AnnotateImage での利用等)は Manual Image Solver の利用をご検討ください。Split Image Solver は AnnotateImage の完璧な精度を求めるものではなく、ImageSolver 単体では不可能な超広角画像での SPCC 実行を可能にするツールです。
スクリーンショット
メインダイアログ

左パネルに画像プレビューとグリッドオーバーレイがリアルタイム表示され、タイル分割の様子を確認できます。スキップされるエッジタイルは暗いオーバーレイと「skip」ラベルで表示されます。右パネルには機材選択、グリッド設定、エッジスキップ、Sesame 天体名検索などが並びます。
Settings ダイアログ

左下の「Settings…」ボタンから開きます。ソルブモード(API / Local / ImageSolver)の切り替え、API キー、Python 環境の設定を行います。
主な機能
- 3 つのソルブモード: astrometry.net API(デフォルト)、ローカル solve-field(Python)、ImageSolver(PixInsight 内蔵)
- 画像プレビュー+グリッドオーバーレイ: タイル分割の様子をリアルタイムで可視化、STF ストレッチ(None/Linked/Unlinked)対応
- 柔軟な分割: 1x1(単一画像)から 12x8 まで、FOV に基づく「Recommended」ボタンでワンクリック最適グリッド設定
- エッジスキップ: 上下左右のタイル行/列をスキップ(星景写真で地上部分を除外するのに便利)
- 高精度: SIP 歪み補正対応、WCSFitter による制御点フィット
- 部分ソルブ対応: 一部のタイルのソルブに失敗しても、成功したタイルから WCS を全体に適用
- 2 パスリトライ: 失敗タイルを隣接成功タイルの WCS ヒントで自動再試行
- オーバーラップ検証: 隣接タイルの重複領域で WCS 整合性を自動チェック
- 機材 DB: カメラ/レンズの自動認識、焦点距離・ピクセルピッチ自動入力
- 魚眼レンズ対応: equisolid/equidistant/stereographic 投影に対応、タイルごとのスケール補正
- Sesame 天体名検索: 天体名から RA/DEC を自動入力
- SPFC 互換: SubframeSelector、SPCC 等と連携
ソルブモード
| モード | 説明 | 必要な環境 | 精度 | Split |
|---|---|---|---|---|
| API(デフォルト) | astrometry.net API でソルブ | API キーのみ(Python 不要) | 良好 | 対応 |
| Local | ローカル solve-field でソルブ | Python + solve-field + 星カタログ | 最高 | 対応 |
| ImageSolver | PixInsight 内蔵 ImageSolver でソルブ | 追加環境不要 | — | Single のみ |
精度の順: Local > API > ImageSolver。ImageSolver モードは API キーも Python も不要で、単一画像のプレートソルブに手軽に使えます。
インストール
リポジトリからインストール(推奨)
- PixInsight を開く
- Resources > Updates > Manage Repositories を開く
- 以下のリポジトリ URL を追加:
https://ysmrastro.github.io/pixinsight-scripts/ - Resources > Updates > Check for Updates を実行
- SplitImageSolver をインストール
手動インストール
- リポジトリを clone またはダウンロード:
git clone https://github.com/ysmr3104/split-image-solver.git javascript/内の以下のファイルを PixInsight スクリプトディレクトリ(SplitImageSolver/フォルダ)にコピー:SplitImageSolver.js/astrometry_api.js/wcs_math.js/wcs_keywords.js/equipment_data.jsh/imagesolver_bridge.jsh
- PixInsight を再起動 → Script > Astrometry > SplitImageSolver から実行
使い方
クイックスタート(単一画像ソルブ)
- PixInsight で対象画像を開く
- Script > Astrometry > SplitImageSolver を実行
- 左下の Settings… ボタンでソルブモードと API キーを設定
- Grid を 1x1 (Single) のまま「Solve」をクリック
- 完了後、画像に WCS が適用される
分割ソルブ(広角画像)
- カメラ/レンズを選択(FITS ヘッダーから自動認識される場合あり)
- Recommended ボタンで FOV に基づく最適グリッドをワンクリック設定
- 星景写真の場合、Skip edges で地上部分をスキップ(例: B:2 で下 2 行をスキップ)
- 必要に応じて天体名を入力して RA/DEC を取得
- 「Solve」をクリック
パラメータ
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| Camera / Lens | カメラ・レンズ機種(ピクセルピッチ・焦点距離を自動入力) |
| Focal length | 焦点距離 (mm) |
| Pixel pitch | ピクセルピッチ (μm) |
| Grid | 分割グリッド(ColsxRows)、1x1 〜 12x8 |
| Overlap | タイル間オーバーラップ (px) |
| Skip edges | 上下左右のスキップするタイル行/列数 (T/B/L/R) |
| Object / RA / DEC | 天体名(Sesame 検索)・中心座標 |
| Downsample / SIP Order | ダウンサンプル設定・SIP 歪み補正次数(API モード) |
トラブルシューティング
- ソルブに時間がかかる / 失敗する: RA/DEC ヒントを入力するとソルブ速度が大幅に向上します。焦点距離・ピクセルピッチも正確に入力してください。
- 一部タイルがソルブできない: 地上風景や雲を含むタイルはソルブできません(正常動作)。2 タイル以上成功すれば WCS 統合が可能です。Pass 2 リトライで自動的に再試行されます。
- WCS 精度が低い: オーバーラップを増やす、SIP Order を上げる、グリッドを細かくする、などを試してください。周辺部の精度が必要な場合は Manual Image Solver をご検討ください。
- Local モードで Python が見つからない: Settings の Python パスが正しいか確認してください。